Kotlinのlet, apply, run, also

エンジニアの原です。

twitterのタイムラインに

「runとalsoの使い所分からん」

というツイートが流れてきたので。

Kotlinには便利な拡張関数があるのですが、それぞれが微妙に違うので用途を結構迷います。

そこでrun, alsoに加えよく使うであろうletとapplyの4つの特徴から用途を考えていこうと思います

定義の確認

run

public inline fun <T, R> T.run(block: T.() -> R): R = block()
  • レシーバの拡張関数
  • 任意の型を返す
  • thisはレシーバ

let

public inline fun <T, R> T.let(block: (T) -> R): R = block(this)
  • レシーバの拡張関数
  • 任意の型を返す
  • スコープ内外でthisが同じ

apply

public inline fun <T> T.apply(block: T.() -> Unit): T { block(); return this }
  • レシーバの拡張関数
  • 返り値はレシーバ
  • thisはレシーバ

also

public inline fun <T> T.also(block: (T) -> Unit): T { block(this); return this }
  • レシーバの拡張関数
  • 返り値はthis
  • スコープ内外でthisが同じ

違い

返り値がレシーバ(apply, also)

apply, alsoは返り値がレシーバに固定されます。 なのでレシーバの内部状態を変えるような処理(初期化など)が想定されます。

返り値が任意(run, let)

run, letは返り値がスコープ内の最後の処理の型になります。 つまり、レシーバを加工したい場合に使う事ができます。 加工はapply, alsoでは出来ない処理です。

スコープ内thisがレシーバ(run, apply)

レシーバ内のthisがレシーバに固定されます。 レシーバのメソッドを呼んだり、レシーバに対する処理を行うときは使いやすい。 反面、スコープ外のthisに参照したいときはthis@~~と各必要がある。

スコープ内外でthisが同じ(let, also)

tスコープ内のthisがスコープ外と同じです。thisが変わらないのでthis@~~と書く必要が無いので楽。 反面、レシーバはitなどで受け取らないといけない。 スコープ内でthisを多用するときは良いかも。

用途

上記を踏まえて私が思った使いどころ

let

ある値の加工だったり変換に使う

val age = 10
val ageStr = age.let{ "age : $it" }

//Nullable時とかよく見るよね
age?.let { " age: $it" }

letはitでレシーバにthisでスコープ外にアクセスできて任意の型を返せるので、

レシーバの加工や変換には一番適していると思います。

apply

初期化処理、メソッドの複数呼び出し

val human = Human().apply { 
   name = "sabure"
   age = "30"
   context = this@HogeActivity
}

applyはthisがレシーバでレシーバを返すので内部状態の変更・初期化処理などに向いているかと思います。

あとはthis@~が複数在るような場合はalsoだと混乱しそうなのでapplyが良いかと思います。

run

エルビス演算時のnullの時の処理?

val name = n ?: run {
   ...
   ...
}

KotlinのNullチェックはエルビス演算子を使うと思うのですが、

nullの時に幾つか処理をして返り値が必要な時などに使えるのではないでしょうか。

also

applyで処理するにはthisの参照が多そうなときかな…

val human = Human().also { 
   setOnClickA { this.startActivity(...) }
   setOnClickB { this.startActivity(...) }
   setOnClickC { this.startActivity(...) }
}

うーん、alsoはあんまり良い使い方思いつきませんね…

返り値がレシーバ固定なのでレシーバに関係ない事をするあまり良くないですし、

そう考えるとthisもレシーバのapplyの方がalsoに比べると使う機会が多そうな気がします。

まとめ

Kotlinの拡張関数は基本的に使ってて気持ちいいくらいなんですが、

それぞれの特徴を踏まえて用途を考えて使わないと、メンバー内などで書き方の統一が難しくなるので気をつけないといけませんね。

全部letでもいけるっちゃいけますからね。